グラナダ/アルハンブラの感動 | koroのいきあたりばっ旅:アメリカ大陸横断編

グラナダ/アルハンブラの感動

2004年10月26日(火)—グラナダ—


朝早く起き、簡単にシャワーを浴び、ロビーで軽い朝食をとってから荷物を抱え、まだ眠っている同部屋の人々に—確かオーストラリア人の女の子、朝早く電車に乗るとか言っていたけれど、まぁいいか—小さくgood bye、と言って別れを告げ、バス乗り場までてくてく歩く。


昨日と違って、晴れてはいたが寒かった。まぁそれはそうだ。ここはハワイではないし、今は10月なのだ。バスに乗ってグラナダに向かう。窓の外はまたしてもかなり荒涼とした土地だ。テキサスあたりもこんな感じなんじゃないだろうか。行ったことないけど。


バスはほぼ3時間後の12時にグラナダに着いた。ターミナルの外に出ると、青空と、からっとしたしかしやや涼しい風が僕をとらえた。第一印象は良い街だ。


とりあえず街の中心部に向かい、宿を探す。二軒目の安オスタルに入る。18ユーロだったが、その値段にしてはかなりきちんとしたオスタルだった。シングルだし(バスは別だったが)インターネットも使える。素晴らしい。


荷物を置いて、さっそく街へ出てみる。腹が減っていたので近くの安食堂に入ってサンドイッチを食べる。そのあたりは大学があるので安い食堂がいくつもあるようだった。若者がそこかしこにいた。腹ごしらえをすますと、まずはアルハンブラ宮殿に向かう。


変な話かもしれないけれど、スペインに行ったら何をしたい、という希望はあまりなかった。だが、アルハンブラだけは何があっても見ておこうと思っていた。特に深い思い入れがあるわけではないが、イスラム文化の粋を集めた建物として高校の教科書にものっていたし、何となくその名前を覚えていたからだ。


街の東にあるその宮殿のほうへ歩いていく。坂道が少々きつかったが、緑がきれいですいすい歩いていった。アルハンブラは人気があるので夏のシーズンには朝早くから並ばないと入場チケットが買えないときいていたけれど、行ったらすんなり入れた。


中に入る。さすがに人は多いが、日本人観光客の姿はあまり見かけなかった。まぁ今は日本では観光シーズンではないし、大学もはじまっているからバックパッカーもそれほどいない。きこえてくるのは英語(イギリスが多いみたいだった)ドイツ語フランス語、そのあたり。今は欧米では観光シーズンなのだろうか?昨日のホステルでも泊まっている人はみんな英語をしゃべっていた。


まぁそれはいいとして、まずはアルカサバに行く。ここは昔要塞だったところらしく、塔がいくつも建っていてそこから街が見渡せるようになっているようだった。その塔に登ってあたりを見たとき、僕は絶句した


そこから眺めたグラナダの街の景色を、僕は一生忘れないだろう。


白い家が山の上まで連なり、その向こうには広い荒野と雪をかぶったシエラネバダ山脈。


天気は快晴で、まさに絶景とはこのことだ。僕もヨーロッパをけっこう回ったけれど、この眺めに匹敵する感動を味わったことがない。いつまで眺めていても飽きなかった。ここは一生のうち一度は行くべきところだとみんなに言わなければ、と僕は感動のため息をつきながら思った。僕はあんまり感動とかしないタイプの人間だけど、ここは真剣に感動した。スペインに行くことがあれば、ぜひここは行ってください。


そのあとナスル朝宮殿を見て、アルハンブラを一通り見た。イスラムっぽい感じが味わい深かった。


いやーよかった、とつぶやきながら街へ戻る。王室礼拝堂の近くで、アラビア語で名前を書くというのをやっていたのでちょっと立ち止まって見ていた。なかなか器用にちゃっちゃっとあの独特のアラビアのくねくねした文字を書いていく。


見ていると、その人が「1.5ユーロだからやってみないかい」と言った。1.5ユーロならやってみるかと思って、ちょっと迷ったあげく彼女の名前を書いてもらうことにした。なかなかいい具合に仕上がった。2ユーロを渡して50セントお釣りをもらった。50セントコインの裏側のマークから、ドイツのユーロセントだとわかった。


一旦オスタルに戻ってから夕食を取りに街に出たけれど、面倒くさかったので近くの食堂でまたサンドイッチを食べて、夜の街を歩いた。


通りにはびっくりするほど多くの人が出ていた。大学があるせいかもしれないけれど、スペインのほかの街と同じくここも夜の遅い街のようだった。


僕は夜のアルハンブラを見にアルバイシンまで行った。アルバイシンはアルハンブラの向かい側にあるアラブ系住民の住居だった町だ。


坂道をえっちらおっちら登り、突然のように現れた広場から夜のアルハンブラとグラナダの夜景を見た。


その美しさはとても言葉では表せない。これは幻想なんだろうか、と僕は思った。きっとそうに違いない、現実世界にこのような美しい場所があるはずがない—。それほど、イスラムの城は非現実的な美しさでたたずんでいた。