ピレネーを越えて
僕は去年、つまり2004年の後半にベルギーに留学していて、
その時はいい機会だと思ったのでヨーロッパあちこち行ってみた。
スペインもその一つである。ここには、長い秋休みの時に
行った。
僕は田舎の出身なので、海外に出ていろいろ経験することに
ずっと憧れていたのだけれど、まさか学生のうちにそれが
実現することになるとは思わなかったな。
僕は中学校の時はわりとまじめだったので、生徒会なんかに
入ったりしていた。っても全校生徒100人くらいしか
いないような小さな学校なんだから、いばることでもない。
文化祭をもっと面白くしようというのが当時の生徒会のテーマだった。
そこで、僕らの代から喫茶店をはじめたり、いろいろプログラムに
工夫を凝らしたりして、楽しくしようと生真面目に頑張った。
生徒だけじゃなくて、一つくらいは教員を入れたプログラムも
入れようということになって、校長先生に簡単な講演を依頼した。
彼は快く引き受けてくれた。
彼の講演のタイトルは「ピレネーを越えて」だった。
自分はまだ一度もヨーロッパに行ったことはないが、若いとき
からずっと、スペインからピレネーを越えてフランスへ、
そしてアルプス山脈までをバイクで走ってみたいという夢が
あるのだ、と、細かいところはすっかり忘れてしまったがだいたい
そのような話を、校長先生は語った。
中学生だった僕には、ヨーロッパなんて未知のもので、校長先生が
言った「ピレネー」という単語がやけに魅惑的に耳に残った
まさかそれから5年後に、実際にピレネーを越えて-といっても
飛行機でだけど-スペインに行くことになるとは全く
思いもしなかった。人生わからんものだね。
そのときの話を、そのときの日記を元に書き起こしてのせていこうと
思います。